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文書作成日:2017/02/20
今回は相談事例を通じて、戸籍が古くて発行されない場合の対応についてご紹介します。
夫が亡くなりましたが、私達夫婦には子供がおらず、両親ともすでに亡くなっています。亡夫名義の土地の名義を変更しようとしたところ、亡夫の兄弟も相続人になるので、兄弟の戸籍等も必要になるといわれました。
そこで市役所で戸籍を取得しようとしたところ、古い戸籍は発行されないとのことでした。戸籍が発行されない場合は、どうしたらよいでしょうか。
被相続人に子がおらず、両親(祖父母も)死亡している場合は、兄弟姉妹が相続人になります(民法第889条)。
この場合、相続人である兄弟姉妹を特定するために、不動産登記手続き等では、被相続人(亡夫)の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本のほか、被相続人の両親についても出生から死亡までの戸籍・除籍謄本が必要となります。被相続人の兄弟姉妹ということは、被相続人の父母の子供を全て確認する必要があるからです。よって、場合によっては明治時代の戸籍などまで遡って取得する場合も多くあります。
高齢の方の兄弟姉妹相続の場合に多いのですが、そのご両親の戸籍謄本について古い戸籍が取得できないことがあります。保存期間の満了や、戦争・火災等による滅失等で役所に保存されていない場合です。
不動産登記(相続による所有権移転登記等)の場合、従来、そのような場合には、取得できる戸籍・除籍謄本のほかに、滅失等により除籍等の謄本を交付することができない旨の市町村長の証明書及び「他に相続人はいない」旨の相続人全員による証明書(印鑑証明書付)が必要でした。相続人全員による証明書とは、古い戸籍が取得できないために、被相続人の両親の子供(被相続人の兄弟)が他にいないことを証明することができず、その代替として、判明している相続人全員で、「他に相続人はいない」ことを法務局に対して申し述べるもので、不動産登記に特有の書類です。
しかし、今般、相続人全員による証明書(印鑑証明書付)は不要となり、「滅失等による除籍等の謄本を交付することができない」旨の市町村長の証明書があれば、相続登記は手続ができることとなりました(平成28年3月11日法務省民二第219号通達)。これによって、疎遠の相続人に証明書にサイン押印もらうことや、遺産分割協議がまとまった後、さらに証明書にサイン押印をもらう手間や相続人のストレスが減り、よりスムーズに手続きができることとなります。
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