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文書作成日:2017/03/05
配偶者が相続した財産については相続税がかからない、と聞いたことがあります。とても有利に思えるのですが、問題ありませんか?
父が他界しました。相続人は母と私たち兄弟2人の合計3人です。配偶者が相続した財産については相続税がかからない、と聞いたことがあります。
父の遺産は約1億円ですが、1億円すべてを母が相続する場合には、相続税は払わなくてもよいですか?
また、今回母がすべて相続し相続税を払わなくてもよいのなら、とても有利に思えるのですが問題はありませんか?
「配偶者が相続した財産については相続税がかからない」というのは、配偶者の税額軽減という特例のことですね。
被相続人の配偶者は相続しても、次のいずれか多い金額まで相続税が発生しない、という特例です。
ご質問の場合には、お父様の遺産が1億円ということですから、1億円すべてをお母様が相続された場合には、確かに相続税は課税されません。
ただし、この配偶者の税額軽減を受けるためには、以下の手続きが必要です。
配偶者の税額軽減は、残された配偶者の生活保障のため配偶者が相続した財産のうち一定額まで相続税を課税しない、という制度です。また一方で、同一世代間での財産の移転であるため、近いうちにもう一度相続税を課税する機会がある、という側面もあります。
ご質問の通り、今回すべてお母様が相続されることが有利なのかどうか、具体例で見てみましょう。
一次相続に限っていえば、今回お母様が全財産を相続することで相続税が発生しないことなりますが、お母様の相続発生時(二次相続)の相続税額まで考えると、税負担はお母様が全財産を相続されるケース①が一番重くなっています。これは二次相続の際の財産額が大きく、高い税率が課税されてしまうためです。
具体例の場合ですと、一次相続と二次相続をあわせて税負担が一番少なくなるのは、ケース③のお母様が3,000万円(30%)相続した場合という結果になりました。
具体例では二次相続までに配偶者の財産は増減しないことを前提にしていますが、配偶者の年齢が若く二次相続まで時間があるときは、その間に様々な相続対策が検討・実行でき、二次相続の税負担を減らすことは可能です。
一次相続での配偶者の相続割合を決定する場合には、目の前にある税負担を軽減させることにとらわれがちですが、将来(二次相続)を見据えた税負担まで考えることで、財産の承継にかかる税負担を最小限に抑えることが可能です。配偶者の年齢、健康状態、今後の生活基盤、相続対策に対する考え方など、様々な角度からの検討が重要でしょう。
<まとめ>
<根拠条文>相法19の2、32、相規1の6、16
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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