不動産に関する資料の保管期間

文書作成日:2016/11/20

不動産を購入した際の売買契約書や領収書などは、保管しておく必要はありますか。

父から不動産を相続することになり、不動産に関する書類を整理しています。権利証については重要な書類と認識して保管していますが、不動産を購入した際の売買契約書や領収書などは、今後も保管しておく必要がありますか。

将来不動産を売却した際に、税金の計算上有利に働く可能性がありますので、売買契約書や領収書などの資料は、引き続き保管してください。

不動産の売却により譲渡益が生じれば、所得税と住民税が課税されます。所有期間が5年超(10年超所有の居住用の特例を除く)の場合の税率は、所得税15.315%(復興特別所得税を含む)と住民税5%の合計20.315%となり、税額は以下のとおり計算します。なお、相続した不動産の所有期間は被相続人が所有していた期間も含まれます。

譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)×20.315

取得費は、不動産を購入した金額(建物については、事業用の場合、減価償却費控除後の帳簿価額になり、居住用の場合、減価償却費の計算が必要で、控除後の価額になります。)になり、取得費を証明する書類には、売買契約書や領収書などがあります。取得費を証明する書類がない場合、取得費は、譲渡収入金額の5%で計算することになります。

では、10年所有した土地建物(取得費1億2千万円)を1億5千万円で売却した場合、取得費を証明する書類の有無により、税額がどの程度変わるのかを比較してみます。なお、譲渡費用は5百万円とします。

①取得費を証明する書類がない場合の税額
150,000,000円×5%=7,500,000円
{150,000,000円-(7,500,000円+5,000,000円)}×20.315%
=27,933,100円(100円未満切り捨て)

②取得費を証明する書類がある場合の税額
{150,000,000円-(120,000,000円+5,000,000円)}×20.315%
=5,078,700円(100円未満切り捨て)

①-②=22,854,400

この事例では、取得費を証明する書類がなければ書類がある場合に比べて、約22百万円も多く税金を支払うことになります。このように適正な税金を納めるためにも、売買契約書や領収書など取得費を証明する書類は保管しておくことが必要です。

なお、取得費を証明する書類以外にも、不動産の書類には建築確認済証や検査済証、確定測量図などがあります。これらの書類も不動産を売却するときはもちろん、建物の修繕や、隣接地との境界を証明する際に役立ちますので、大切に保管されることをお勧めします。

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