コレステロールは悪くない!?新常識を徹底分析

文書作成日:2016/09/05

健康のためにはコレステロールの摂りすぎは良くない、というのは常識でしたが、今その事実がくつがえされようとしています。アメリカの保健福祉省と農務省では、「米国人のための食生活ガイドライン」の策定に向けた報告書のなかで、これまで1日300mgまでとしてきたコレステロール摂取基準を撤廃しました。日本でも、「日本人の食事摂取基準」策定検討会の報告書で、男性は700mg、女性600mgまでと設定していたコレステロール摂取目標量を削除。この背景には、いったい何があるのでしょうか?

脳の重量の約20%はコレステロールでできていて、脳の健康を保つにはオメガ3(魚油、アマニ油、シソ油など)や動物性脂肪(肉、卵、バター、チーズなど)を積極的に摂る必要があるといいます。脳にコレステロールが足りない状態になると、脳の働きが落ち、認知症になるリスクも高まることも。それでも、コレステロールが悪者になっている背景としては、オメガ3の摂取が少なく、身体に悪い油、オメガ6(紅花油、コーン油、大豆油、菜種油、マーガリンなど)の摂取量が多いことにあります。ここの部分を勘違いし、油全般が悪いと思いこんでいる場合が誤りとなります。

実は、体内のコレステロールの7~8割は、肝臓などの体内でつくりだされたもので、食事が影響するのは2割ほど。アメリカのコレステロールに関する報告書でも、「食事からのコレステロール摂取と血清コレステロールには、はっきりとした関連があることを示した研究はない」としています。つまり、コレステロールによる健康トラブルを抱えやすいかどうかは、遺伝的要因が大きいとも考えられ、健康な人に対して食事で摂れるコレステロールを制限する必要はないと考えられはじめているのです。

コレステロールのなかには、悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)があります。悪玉コレステロールは、血管に増えすぎると血管内にたまって動脈硬化を促進。善玉コレステロールは、増えすぎた悪玉コレステロールを回収して肝臓に運ぶ働きがあります。悪玉コレステロールの数値が「140/dl」以上、もしくは善玉コレステロールの数値が「40mg/dl」以下、また中性脂肪の数値が「150mg/dl」以上の場合は、「脂質異常症」と診断されます。
予防するには、植物油やマーガリンなどに含まれるオメガ6の摂取量を減らし、青魚やアマニ油などに含まれるオメガ3、余分なコレステロールを排出してくれる野菜や海藻などを適度に摂るように心がけましょう。ただし、悪玉コレステロールも低ければよいというものではなく、低すぎると貧血や肝臓の病気などの原因にもなるので、前述の通り摂取量をむやみに制限するは避け、自分の体調や検査結果などと照らし合わせながら、自らの適量を探っていくことが大切となります。

※アマニ油、シソ油などは加熱に弱いので、生で摂るようにしてください。

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